発信者情報開示命令の申立てについての決定に対する異議の訴え
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告(アダルトビデオ制作会社)は、原告(インターネット接続サービス提供会社)のサービスを介してビットトレント(BitTorrent)を使用した発信者が被告の動画著作権(公衆送信権)を侵害したとして、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(プロバイダ責任制限法)5条1項に基づき発信者情報の開示を申し立て、東京地方裁判所は令和6年10月8日に開示命令決定をした。原告はこの決定を不服として異議の訴えを提起した。 【争点】 - 争点1:ビットトレントを介した本件各通信が「特定電気通信」(法2条1号)に該当するか - 争点2:被告の著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかといえるか - 争点3:発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるか 【判旨】 裁判所は原告の請求を棄却し、開示命令決定を認可した。 争点1について、ビットトレントでは参加端末(ピア)が他の不特定ピアからの要求に応じて自動的にファイルまたはピースをアップロードする仕組みであることから、本件各通信は「不特定の者によって受信されることを目的とする通信」であり「特定電気通信」に該当すると判断した。 争点2について、調査会社が実施した再生試験により、送信されたピースから本件動画の表現上の本質的特徴を直接感得できることが認められ、ピース単体での再生可否にかかわらず公衆送信権侵害が成立すると判断した。原告が主張する調査信用性の問題(契約者の否認回答や日時の相違)についても、客観的裏付けがなく、またハードディスクへの書き込み時間差として合理的に説明可能であるとして退けた。 争点3について、被告が損害賠償請求を予定しており開示の必要性が認められること、また発信者情報開示に発信者の故意・過失は要件とされていないことを理由に、正当な理由があると認定した。