AI概要
【事案の概要】 不動産事業を営む原告(株式会社グッドライフ)が、競合する不動産会社である被告ASAP及び原告の元従業員7名(被告従業員ら)に対し、元従業員らが原告の営業秘密(顧客情報)を被告ASAPに開示し、同社がこれを使用して不動産物件を購入したとして、不正競争防止法・債務不履行・共同不法行為に基づき損害賠償金約1億225万円の連帯支払を求めた事案である。被告従業員らはいずれも原告または子会社グラップの元従業員で、退職後に被告ASAPへ移籍または同社を設立した。 【争点】 - 原告の顧客情報(顧客管理システム上の情報・見込帳記載情報)が不正競争防止法上の「営業秘密」に該当するか - 被告ASAPが当該顧客情報を使用して物件を購入したか - 被告従業員らが顧客情報を被告ASAPに開示したか(持出し・記憶による開示を含む) - 被告従業員らの労働契約上の秘密保持義務・競業避止義務・引抜行為禁止義務への違反の有無 - 損害の発生および損害額(逸失利益の有無) 【判旨】 裁判所は原告の請求をすべて棄却した。 主な理由は以下のとおり。 ①見込帳記載情報(顧客情報2)については、管理簿すら存在せず持ち出されたとする見込帳の存在を裏付ける客観的証拠がなく、原告が当該情報を保有していたこと自体を認定できないとした。 ②顧客管理システム上の情報(顧客情報1)については、被告ASAPが対象物件を購入した事実は認められるものの、当該情報の内容(備考欄・架電履歴)は成約に不可欠な情報でも成約率を有意に上昇させる情報でもなく、物件等情報は不動産会社間で流通している種類の情報であり、被告名簿にも多数記載されていたとして、顧客情報1の使用を推認することはできないと判断した。また、被告ASAPの成約率の高さについても、原告とASAPの営業手法の相違(原告は長期的関係構築型、ASAPは訪問即決型)で説明できるとした。 ③証拠保全期日における検証物提示命令への不応についても、真実擬制(民訴法224条3項)を適用することは相当でないとした。 ④競業避止義務・引抜行為禁止義務違反の債務不履行については、仮に義務違反が認められるとしても、原告が本件各物件を購入できたという相当程度の蓋然性を認めることができず、転売利益に係る損害(逸失利益)との因果関係が認められないとして請求を排斥した。