商標権侵害差止請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 スイスのブランド「ヴェンガー エス アー」(控訴人)は、自社が保有する商標権(十字と四角形を組み合わせた図形商標)を侵害されたとして、バックパック等を販売する「ゴイチマル株式会社」(被控訴人)に対し、商標法36条1項・2項に基づき、被控訴人各商品の譲渡・展示の差止め、広告宣伝物の差止め、及び商品・広告宣伝物の廃棄を求めた。原審(東京地方裁判所)が請求をすべて棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 - 被控訴人標章1(被控訴人商品に付されたバッジ状の標章)の外観認定の当否:内部中央の図形が「十字」か「四つの不整形な円の集合体状の図形」か - 控訴人商標と被控訴人標章1・標章2の類否 - 商標の類否判断における取引の実情(被控訴人サイトの写真の鮮明度、出所の誤認混同の有無)の考慮の当否 【判旨】 知的財産高等裁判所は控訴を棄却した。 被控訴人標章1の内部図形について、控訴人が「十字が明らかに看取できる」と主張したが、裁判所は、写真上の中央部分は黒っぽく見え、鮮明な写真も証拠として提出されていないとして、「四つの不整形な円の集合体状の図形」との認定を維持した。被控訴人標章2と照らし合わせれば十字と分かるとの控訴人の主張も、根拠を欠くとして排斥した。 外観の類否について、控訴人商標と被控訴人標章1は、四角形の二重配置等の共通点はあるものの、中央部分の図形・縁の形状・角の形状等に顕著な相違があり、非類似と判断した。被控訴人標章2についても、形状の複雑さ・色彩(赤色vs黒色)等の多数の相違点から、外観に顕著な差異があり非類似と判断した。 取引の実情に関しても、「SWISSWIN」商標が付されて販売されていること、実際の出所誤認混同の証拠がないことを本件の事情として認定し、誤認混同のおそれはないと結論付けた。