AI概要
【事案の概要】 原告(特許権者)は、緑内障治療薬「リパスジル」を有効成分とする医薬製剤(特許第6244038号)について、被告(東亜薬品株式会社)から無効審判を請求された。特許庁は訂正を認めた上で請求項1〜7、9、10に係る発明の特許を無効とする審決を下したため、原告が審決取消しを求めて提訴した。 【争点】 - 相違点1:本件訂正発明が「水性組成物」を特定しているのに対し、引用発明(甲2)では対応する事項が特定されていない点の容易想到性 - 相違点2:本件訂正発明が「一次包装体の内表面の総面積に対し50%以上の部分が、波長300〜335nmの光線の透過率の平均値が10%以下となるように当該光線を遮断する」という構成を特定している点の容易想到性、および数値限定の臨界的意義の有無 - 顕著な効果(光安定性の向上)が当業者の予測を超えるものか否か 【判旨】 裁判所は原告の請求を棄却し、本件各訂正発明はいずれも進歩性を欠くと判断した。 相違点1について、甲2にはリパスジル(K-115)をTris-HCl緩衝液(水性組成物)中でROCK阻害活性試験に用いたことが記載されており、当業者は同化合物が水性組成物となり得ることを理解できるとして、実質的相違点ではないか、容易想到であると認定した。 相違点2について、薬事承認を受けるために曝光の影響を受けない容器を選択する動機付けがあり、波長300〜335nmの光透過率の平均値10%以下という数値限定は類縁物質量とほぼ正比例する関係にあり臨界的意義は認められないとした。また、本件優先日前から紫外線吸収剤を配合した容器や遮光袋等の遮光手段は当業者に周知であったと認定した。 効果についても、薬事承認審査上、当業者が必ず実施する光安定性試験により判明する性質であり、当業者が予測し得る程度の効果にすぎないとした。 【補足意見】 なし