AI概要
【事案の概要】 原告は、電気コーヒーメーカーに関する特許第6376369号(本件特許1)及び特許第6593723号(本件特許2)を保有する個人発明者である。被告株式会社千石(家庭用電気製品製造)及びその子会社である被告日本エー・アイ・シー株式会社は、令和5年3月から電気コーヒーメーカー(被告製品)を販売している。原告は、被告らが共同開発期間中に取得した技術情報をもとに被告製品を製造・販売しており、これが本件特許権1・2を侵害するとして、販売差止、金型廃棄及び損害賠償3000万円を求めて提訴した。 【争点】 ・被告製品が本件発明1の各構成要件(C-1:給水量の制御、D-1:ヒータのOFF制御とスチーム圧力不発生、I-1:残湯なし)を充足するか ・被告製品が構成要件D-1と均等な構成を備えるか ・被告製品が本件発明2の各構成要件(C-2:給水制御、H-2:ヒータの中空吊り下げ、I-2:残湯なし、J-2:排気孔、L-2:外郭排気口)を充足するか ・被告製品が構成要件H-2と均等な構成を備えるか ・本件特許1にサポート要件違反・明確性要件違反・補正要件違反・進歩性欠如の無効理由があるか ・本件特許2に進歩性欠如の無効理由があるか 【判旨】 裁判所は原告の請求をいずれも棄却した。被告製品は、両当事者間で充足が争われた構成要件(C-1、D-1、I-1等)を充足しないと判断された。具体的には、被告製品はボイラーへの給水を複数回に分けて行い、かつコーヒー淹れ方行程完了後にボイラー内に約9mlの残湯が残ること、またボイラー内の湯を100℃超まで加熱してスチームを発生させる構成を採用していることなどから、本件発明の各構成要件を文言上充足しないと認定された。均等侵害についても、構成要件D-1の「スチーム圧力を発生させない」という構成は出願経過において意識的に除外されたものと評価され(第5要件不充足)、均等侵害も成立しないと判断された。本件特許1の無効理由等については、請求棄却の結論に影響しないため判断を要しないとして、訴訟費用は原告負担とされた。