AI概要
【事案の概要】 防衛省九州防衛局の職員である原告は、令和2年11月16日、職場の上司2名によるパワー・ハラスメントを受けているとしてパワハラホットラインに相談(本件相談)を行った。その後、被告(国)の公務員は令和3年6月頃までに関係者への調査を終えていたにもかかわらず、令和5年1月10日になるまで調査結果を原告に回答しなかった。原告は、この回答遅延が国家賠償法1条1項上の違法行為または債務不履行に当たるとして、慰謝料200万円の支払を求めた。 【争点】 - ① パワー・ハラスメント相談に対する検討結果の回答遅延が国賠法上違法といえるか - ② 同遅延が安全配慮義務違反に当たるか - ③ 原告の損害額 【判旨】 裁判所は、被告の公務員はパワー・ハラスメントに関する通報・相談に対し、迅速に調査・対応した上で合理的な期間内に相談者へ結果を回答すべき職務上の法的義務を負うと判断した。防衛省のパワハラ防止訓令・運用通達・指針は、単なる訓示規定にとどまらず、個々の職員の心身の健康を法的保護の対象とするものと解され、相談体制を利用した職員には訓令等に従った対応がなされるとの法的保護に値する期待があるとした。 事実認定として、令和3年6月末頃には調査が終了し回答可能な状態にあったにもかかわらず、令和3年12月頃には本省担当専門官への無返信等から回答留保が原告の体調不良を招いていることを被告公務員は把握できたとし、遅くとも令和4年2月頃には回答すべきであったと認定。それ以降、令和5年1月10日まで約10か月余りにわたり回答を怠ったことは国賠法上違法と判断した。 損害額については、遅延の経緯・期間その他一切の事情を考慮し、慰謝料5万円が相当と認定。原告の請求のうち5万円及び遅延損害金の限度で認容し、その余は棄却した(訴訟費用は40分の1を被告負担)。