国家賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】宮崎県警察の日向警察署警備課に配属されていた警察官(当時31歳)が自殺したことについて、その両親である原告らが、自殺は警備課長らによるパワーハラスメントと過重労働に起因するものであるとして、宮崎県に対し、国家賠償法1条1項に基づき各1457万6431円の損害賠償を請求した事案である。本件警察官は書類作成上の誤字脱字等のミスが多く、前任の乙課長から年齢や語学への言及を含む追及的な指導を受け、一時休暇を取得した経緯があった。後任の丙課長の下でも、誤字脱字箇所を指摘せずに書類を返却して自分で見直させる指導や、1回二三十分にわたる指導の繰り返し等が約3か月間継続され、本件警察官は次第に精神的に追い詰められ、平成30年12月25日に精神安定剤を大量服用して入院した。職場復帰後も精神状態は回復せず、平成31年1月20日に自宅で縊首により自殺した。 【争点】(1)被告の安全配慮義務違反の有無、(2)安全配慮義務違反と自殺との相当因果関係、(3)損害額、(4)過失相殺の可否。 【判旨】原告らの請求を全額認容した。丙課長による3つの指導行為(誤字脱字箇所を指摘せず書類を返却する指導、執拗な繰り返し指導、当直明けの2時間にわたる断続的指導)はいずれもパワーハラスメントに該当すると認定した。これらの指導と同時期の長時間労働(11月〜12月の時間外労働101時間30分)が相まって、本件警察官は遅くとも平成30年12月25日にはうつ病を発症したと認め、被告の安全配慮義務違反とうつ病発症、さらにうつ病と自殺との間にそれぞれ相当因果関係を認めた。過失相殺については、被告の義務違反の程度が重大であること等から適用を否定し、死亡逸失利益5545万8590円、死亡慰謝料2600万円等を基に、原告ら各自の損害額1457万6431円を全額認容した。