特許権侵害損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】控訴人(特許権者)は、「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム」に関する特許権を有しており、被控訴人(KDDI)が販売した携帯端末製品が本件特許の技術的範囲に属するとして、特許権侵害に基づく損害賠償として1000万円(総額約55億円の一部)の支払を求めた。原審は、本件特許が先行文献(特開2001-197167号公報)により進歩性を欠くとして請求を棄却し、控訴人が控訴した。なお、被控訴人の補助参加人としてソニーが参加している。 【争点】主な争点は、(1)被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか(高解像度画像受信・処理・表示機能、無線通信手段、グラフィックコントローラ、単一VRAM等の構成要件充足性)、(2)先行文献に基づく新規性・進歩性欠如の無効理由の成否、(3)控訴人が特許無効審判手続において行った訂正請求(令和7年訂正)による無効理由解消の成否(訂正の再抗弁)である。 【判旨】知財高裁は控訴を棄却した。先行文献(乙6発明)と本件発明の相違点について検討し、携帯電話機の無線通信手段が画像データを伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換する構成は本件特許の優先日当時の技術常識であったと認定した。また、内蔵表示パネルの解像度より大きい画像データを内蔵パネルに表示させることも当業者にとって容易であったと判断した。さらに、令和7年訂正後の本件訂正発明についても、乙6発明に技術常識を適用することにより当業者が容易に発明できたものであるとして、訂正の再抗弁を退けた。よって、本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものであり、控訴人は被控訴人に対し特許権を行使できないと結論づけた。