建造物侵入、強盗致傷、詐欺、窃盗被告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和5(わ)1567
- 事件名
- 建造物侵入、強盗致傷、詐欺、窃盗被告事件
- 裁判所
- 千葉地方裁判所 刑事第1部
- 裁判年月日
- 2025年7月23日
- 裁判官
- 西澤恵理
AI概要
【事案の概要】 被告人は、共犯者らと共謀の上、高齢者2名に対し市役所職員や金融機関職員になりすましてキャッシュカードをだまし取り、ATMから現金合計約226万円を引き出した特殊詐欺2件(群馬事件・山形事件)に受取役兼引出役として関与した。さらに、SNSで「裏バイト」の求人募集に自ら応募し、氏名不詳者らが計画した質店強盗に包丁役の実行役として参加し、店員に包丁を突き付けるなどの暴行脅迫を加えて腕時計等88点(販売価格合計約3934万円)を強取し、店員1名に全治約2週間の切創を負わせた(千葉事件)。 【争点】 被告人は群馬事件及び山形事件について「記憶がない」と供述し、犯人性を争った。裁判所は、群馬事件の被害者方玄関チャイムから被告人由来と考えて矛盾のないDNA型が検出されたこと、山形事件の被害者方玄関ドアから被告人の掌紋が採取されたこと、各ATMから現金を引き出した人物の容姿が被告人と酷似していること、運転手役の共犯者が被告人が受取役兼引出役であった旨証言したことを総合し、被告人の犯人性を合理的疑いを超えて認定した。 【判旨(量刑)】 量刑の中心となる千葉事件は、指示役が事前に下見を行い、包丁役・ハンマー役・運転手役・回収役と細かく役割分担した入念かつ組織的な犯行であった。被告人は包丁を店員に至近距離で執拗に突き付けるなど粗暴かつ危険な犯行態様であり、被害額も約3934万円と非常に高額で、被害者らの精神的苦痛も見過ごせない。群馬事件・山形事件も高齢者を標的にした組織的犯行で、被害額は合計約220万円に上り、慰謝の措置は講じられていない。被告人は詐欺罪等による執行猶予中の犯行であり、金欲しさから犯罪が悪質化している経過に鑑み、規範意識の鈍麻は著しい。他方、被告人が軽度知的障害を有し、物事に直感的に飛びつきやすい特性が犯行に影響した可能性は否定できないこと、公判廷で反省の言葉を述べ更生意欲が認められたことも考慮し、求刑懲役15年に対し、懲役10年を言い渡した。