AI概要
【事案の概要】 本件は、特許第6329679号(発明の名称「オーディオコントローラ、超音波スピーカ、オーディオシステム、及びプログラム」)に係る特許無効審判の不成立審決に対する取消訴訟である。原告(株式会社CSイノベーション)は、同特許の発明者は自社代表取締役Cら(C及びE)であり、被告(ピクシーダストテクノロジーズ株式会社)の出願は冒認出願又は共同出願違反に当たると主張して、審決の取消しを求めた。本件発明は、超音波スピーカの各超音波トランスデューサを個別に制御し、焦点位置で集束する位相差を有する超音波を放射させるオーディオコントローラに関するものである。 【争点】 主たる争点は、本件発明の発明者の認定である。具体的には、(1)本件発明の特徴的部分の範囲(原告主張の「焦点位置と各トランスデューサとの距離算出に基づく位相制御」や「可聴音の波形が焦点位置で揃う位相制御」が特徴的部分に含まれるか)、(2)被告側のA及びBが開発した本件実験機により本件発明が既に完成していたか、(3)原告側のCらが開発した本件試作機の開発が発明の特徴的部分の創作活動に当たるか、が争われた。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。まず、本件発明の特徴的部分は特許請求の範囲の記載に基づき認定すべきであり、「オーディオ信号に基づいて各超音波トランスデューサを個別に制御するための制御信号を生成し、少なくとも1つの焦点位置で集束する位相差を有する超音波を各超音波トランスデューサが放射するように制御信号を出力する制御手段を備える」部分であると判断した。原告主張の距離算出による位相制御は公知技術から当然想定されるものであり、可聴音の波形の位相制御がなくとも超音波搬送波の位相制御のみで焦点位置における可聴音の発生は可能であるとした。そして、A及びBが開発した本件実験機は、1023Hz以下の矩形波の可聴音という制約はあるものの、本件発明の特徴的部分を備え焦点位置で可聴音を発生させることができたと認定し、パラメトリックスピーカーは周知技術であるから一般的なオーディオ音源への対応は当業者が実施可能であったとして、本件発明はCらの関与前に完成していたと結論づけた。