AI概要
【事案の概要】 原告ヤマハ発動機株式会社は、意匠に係る物品を「自動二輪車」として意匠登録出願(本願)を行い、出願と同時に新規性喪失の例外規定(意匠法4条2項)の適用を受けるための証明書(本件証明書)を提出した。本件証明書に記載された公開意匠は、2023年7月13日に英国で開催された「GOODWOOD Festival of Speed」で展示された実車の意匠である。一方、引用意匠は、株式会社内外出版社が運営するウェブサイト「WEBヤングマシン」が同年8月30日に公開した記事に掲載されたCG(ヤングマシン編集部作成)であり、特許庁はこれを引用して本願を拒絶査定し、不服審判においても「審判の請求は成り立たない」との審決がされた。原告はこの審決の取消しを求めて本件訴えを提起した。 【争点】 ・ 取消事由1:引用意匠(CG画像)が公開意匠と同一又は実質的に同一であり、新規性喪失の例外規定(意匠法4条2項)の適用対象となるか ・ 取消事由2:本願意匠と引用意匠が類似するとの審決の判断に誤りがあるか(CG画像が意匠法上の「意匠」に該当するか、片側のみが表されたCG画像から自動二輪車全体の形状等を認定できるか) 【判旨】 裁判所は原告の請求を棄却した。 取消事由1について、公開意匠と引用意匠を対比すると、色彩・保安部品の有無・フロントカウル部の開口部・サイドカバー部・マフラー・リア周り(リアフェンダーの有無)等において複数の相違点があり、両者が同一又は実質的に同一であるとはいえないと判断した。また、引用意匠が公開意匠の派生的な公開に当たるとの原告主張も、形状等が実質的に同一でない以上採用できないとした。さらに、意匠審査基準(令和5年)に基づく部分的な例外規定適用の主張についても、同基準は本願(令和6年1月1日以前の出願)には適用されず、かつ内容的にも本願の事例には当てはまらないとして退けた。 取消事由2について、引用意匠はCGで表現された自動二輪車の物品意匠であり、画像意匠ではないとした。また、自動二輪車は一部部品を除いて一般に左右対称であることから、片側のみが表されたCG画像からでも自動二輪車全体の形状等を認定できるとした。類否判断においては、フロントカウル部・タンク部・シートカウル部等の多数の共通点が需要者の視覚に与える影響が大きく、相違点(色彩・開口部・ウインカー位置・バックミラー位置・サイドカバー部・マフラー形状)はいずれも類否判断を左右するほどではないとして、本願意匠と引用意匠は類似すると結論づけた。