伊方原子力発電所運転差止請求事件
判決データ
- 事件番号
- 平成29(ワ)112
- 事件名
- 伊方原子力発電所運転差止請求事件
- 裁判所
- 山口地方裁判所 岩国支部
- 裁判年月日
- 2026年2月26日
AI概要
【事案の概要】 本件は、愛媛県の佐田岬半島に位置する伊方発電所3号機(加圧水型原子炉)について、その周辺概ね40〜140km圏内に居住する原告らが、被告(四国電力株式会社)に対し、地震・火山噴火等に対する安全性を欠くとして、人格権に基づく妨害予防請求権により原子炉の運転差止めを求めた民事訴訟である。原告らは、重大事故が発生した場合に大量の放射性物質が外部に放出され、生命・身体等に重大かつ深刻な被害が生じると主張した。 【争点】 1. 司法審査の在り方(主張立証責任の分配・深層防護の観点を含む) 2. 地震に対する安全性(中央構造線断層帯の評価、基準地震動の策定の妥当性等) 3. 火山に対する安全性(阿蘇山等の巨大噴火リスク、火砕物密度流・降下火砕物の影響評価等) 4. 避難計画の妥当性 【判旨】 山口地方裁判所岩国支部は、原告らの請求をいずれも棄却した。 裁判所は、原子炉の運転差止めを求める民事訴訟において、原告らが人格権侵害の具体的危険の存在を主張立証すべき責任を負うことを前提としつつ、新規制基準(原子力規制委員会が福島第一原発事故後に制定した実用発電用原子炉の設置許可基準規則等)の適合性審査を経て許可処分を受けた原子炉について、その安全性を検討した。 地震に関しては、被告が申請した基準地震動(最大加速度水平動650ガル)の策定過程および中央構造線断層帯の評価を含む地震安全性について、新規制基準への適合性に重大な欠陥があるとは認められないと判断した。 火山に関しては、阿蘇山等の巨大噴火による火砕物密度流等の設計対応不可能な火山事象が運用期間中に本件発電所へ到達する可能性は十分小さいとした被告の評価、および降下火砕物の最大層厚を15cmと評価した対策の妥当性についても、新規制基準への適合性に重大な問題があるとは認められないと判断した。 以上から、本件原子炉の運転により原告らの人格権が侵害される具体的危険が存在することの立証がないとして、請求を棄却した。訴訟費用は原告らの負担とされた。