AI概要
【事案の概要】 被告人は、北海道美唄市の上下水道課係長・課長補佐として、市が発注する上下水道工事の積算や最低制限価格の算出等に従事していた公務員である。被告人は、なじみの業者と結託して工事代金を水増し請求させて市に損害を与えた背任と、別の業者に入札の最低制限価格を教示した見返りとして私的な旅行費用等を負担させた収賄の2件の犯行に及んだ。 【判旨(量刑)】 裁判所は被告人を懲役2年6月、未決勾留日数120日算入、追徴金85万3955円に処した。 ①背任について:被告人は株式会社Aの代表取締役と共謀し、令和6年7月、正規代金との差額707万3000円を水増しした請負代金820万3000円を市に支払わせ、市に707万3000円の損害を加えた。水増しはこれまでも繰り返されており、本件では被告人が転職後に高級自動車を購入する資金に充てるため、自ら多額の水増しを提案したものであった。 ②収賄について:被告人は令和3年7月下旬から令和6年7月下旬にかけて、F株式会社の代表取締役・取締役らに対し、6件の工事入札の最低制限価格を教示するなどの便宜を図っていた。その謝礼等として、令和6年11月に被告人と交際相手の2人分の4泊5日の沖縄旅行(航空券・高級ホテル代等)や飲食代金など合計85万3955円相当の財産上の利益を収受した。 量刑理由として、裁判所は、背任による損害が高額(約707万円)であるにもかかわらず弁償が一部(被告人から50万円、業者から125万円)にとどまること、被告人が私利私欲を増大させ公務員としての倫理観が希薄な状態で地元業者と癒着して犯行に及んだこと、いずれの犯行も被告人の発案によるものであり被告人なしには実行できなかったことを挙げ、犯情は悪いと評価した。弁護人が主張した共犯者・贈賄側との刑事処分の公平については、被告人の犯情がこれらと異なることを理由に退けた。一方、被告人が公判廷で罪を認め反省していること、損害の一部を弁償していること、社会復帰後のサポート体制があること、前科前歴がないことを酌量して主文の刑を量定し、執行猶予は付さなかった。