債務不存在確認等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告aは、融通念佛宗の寺院である原告寺(専念寺)の住職であり、SNS等で「専念寺/ネコ坊主」のアカウント名で短文等を投稿し、KADOKAWA社から書籍「しんどい心が軽くなる 今日のネコさんの教え」を出版した。被告は、SNS等で五行歌様の短文作品を投稿・出版している者である。被告が原告書籍の内容が自身の著作権を侵害していると指摘したことを受け、KADOKAWA社は原告書籍を絶版とした。その後、PHP研究所を介した原被告間の交渉が行われたが決裂し、被告はPHP研究所や融通念佛宗総本山に対して原告aの著作権侵害等に関する情報を伝達した。原告らは、被告のこれらの告知行為が不正競争防止法2条1項21号(虚偽事実の告知)に該当するとして、著作権侵害に基づく債務の不存在確認、告知の差止め、及び損害賠償(各220万円)を求めて提訴した。 【争点】 ・本件告知行為1(PHP研究所への伝達)が虚偽事実の告知として不正競争に該当するか ・本件告知行為2(総本山への連絡)が虚偽事実の告知として不正競争に該当するか ・被告の過失の有無 ・原告らの損害の有無及び額 【判旨】 裁判所は、原告らの請求をいずれも棄却した。 告知行為1について、裁判所は、被告作品(五行歌様の短文)は語のリズム・語感・テンポ等を踏まえた表現の選択がなされており、ありふれたものとはいえず創作性が認められるとした。原告作品と被告作品を対比すると、文章の大部分が共通しており、猫の写真や筆文字等の付加部分は文章内容と相関がなく、原告作品に接する者は被告作品の表現上の本質的特徴を直接感得できるとして、原告作品は被告作品を翻案したものと認定した。したがって、著作権侵害があった旨の告知は虚偽ではないとした。さらに、PHP研究所は被告の交渉の使者であり、不競法上の「告知」の相手方ではないこと、また被告の著作権侵害に関する事実をPHP研究所が知るのは正当であることからも、不正競争には当たらないとした。 告知行為2について、著作権侵害の告知は虚偽でなく、名誉毀損の指摘は法的意見の表明であること、交渉経緯に照らせば原告aが一方的に交渉を打ち切ったといえること等から、全体として虚偽とは認められないとした。加えて、総本山は原告らの需要者・取引先として想定されず、告知により被告が競争上有利な地位に立つとは解し得ないとも判示した。