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【事案の概要】 原告(中国電力株式会社)は、「リッキー」の文字を標準文字で表した商標(指定商品:第16類「メモ帳、シール、ペンシルケース、文房具類、定期刊行物、小冊子、印刷物」)について商標登録出願をしたところ、擬人化したリスのキャラクター図形の下部に「リッキー」の文字を配した引用商標(登録第6517882号)と類似するとして、商標法4条1項11号に該当することを理由に拒絶査定を受けた。原告は拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は請求不成立の審決をしたため、その取消しを求めて本件訴訟を提起した。 【争点】 - 引用商標(図形部分と「リッキー」の文字部分からなる結合商標)から文字部分のみを要部として抽出し、本願商標と比較して類否判断を行うことが許されるか - 原告は、①判例の基準のうち(X)構成部分の一部が出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合、(Y)それ以外の部分から称呼・観念が生じない場合の基準を検討せず、(Z)分離観察が取引上不自然でないとの基準のみで一部抽出を認めた審決は誤りである、②キャラクター図形とキャラクター名称を一緒に配した結合商標では図形部分と文字部分は不可分的に結合している、③引用商標の審査時に法6条1項(一商標一出願の原則)違反の拒絶理由を通知しなかったにもかかわらず後願の審査で一部抽出を認めることは禁反言の法理に反する、と主張した。 【判旨】 裁判所は、原告の請求を棄却した。 引用商標の図形部分と文字部分は、構成要素・色彩が異なり、重なり合うことなく相当程度の間隔を空けて上下に独立して表されており、視覚上明確に分離して看取し得る。図形部分はリスを擬人化したものと思わせるが、我が国において広く知られ親しまれたものではなく、特定の称呼や観念は生じない。「リッキー」の文字部分は造語であり特定の観念を生じないが、出所識別標識としての機能を有する。図形部分と文字部分の間に観念上のつながりはなく、両者を常に一体として把握しなければならない特段の事情もないため、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえず、文字部分を要部として抽出することが許される。 「リッキー」がキャラクター名称として一般的である旨の原告主張については、本願商標や引用商標とは直接的な関連性がなく、需要者・取引者の認識に影響しないとした。また、キャラクター図形と文字が併記されていても、文字がブランド名を示す場合もあり、必ずしもキャラクター名称とは認識されないとした。禁反言の法理の主張については、法4条1項11号該当性の判断と法6条1項の要件充足は何ら関連性がないとして退けた。 以上より、本願商標と引用商標は、要部である「リッキー」の文字部分において外観が近似し、称呼を共通にするため、類似する商標であり、本件審決に取り消すべき違法はないと判断した。