損害賠償請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 小平市立小学校の教諭であった亡C(当時25歳)が令和3年5月31日に自死したことを受け、その父母である原告らが、自死の原因は同校の主任教諭Dによるパワーハラスメントと、E校長及びF副校長の安全配慮義務違反にあると主張し、被告市(国賠法1条1項)と被告都(同法3条1項、給与負担者)に対し、相続した亡Cの損害及び原告ら固有の損害として各約4946万円の損害賠償を求めた事案。 【争点】 ・D教諭によるパワハラの有無と違法性 ・E校長及びF副校長の安全配慮義務違反の有無 ・パワハラ等と自死との間の相当因果関係の有無 ・損害の有無及び額 【判旨】 裁判所は、まずD教諭について、亡Cに対し令和3年5月15日から31日までの間、「頭おかしいんじゃないの」などの人格否定的発言、休日出勤して作成した学習指導案の形式的ミスを捉えた「こんなやっつけ仕事しないで」「失敗すればいいよ」との突き放す発言、周囲の教諭に亡Cへの助言を禁じる指示、声掛けの無視等の一連の言動を認定し、これらは主任教諭としての優越的立場を背景とする、必要かつ相当な指導の範疇を超える国賠法上違法なパワハラに該当するとした。 他方、E校長及びF副校長については、E校長が亡Cからの相談を受け、本人がDへの直接指導を拒んでいたことを踏まえて間接的な注意喚起をするなど一定の対応を取っていたこと、学習指導案の作成業務が過重労働と認められないことなどから、安全配慮義務違反は認められないとした。 因果関係については、Dのパワハラは各言動の違法性が強いとまではいえず、期間も数週間と短期間にとどまり、亡Cに精神疾患の既往歴もなく自死当日まで通常勤務を続けていたことからすれば、平均的教諭を自死に追い込むほどの強度の精神的負荷とはいえず、Dにおいて自死の結果を具体的に予見することは困難であったとして、パワハラと自死との相当因果関係を否定した。 もっとも、パワハラにより亡Cが受けた精神的苦痛は軽視できず、パワハラが自死の要因の一つとなった可能性も否定できないとして、亡C固有の慰謝料100万円を認め、原告ら各自が2分の1を相続した50万円に弁護士費用各5万円を加え、原告ら各自に対し55万円及び遅延損害金の連帯支払を被告らに命じた。その余の請求は棄却された。