AI概要
【事案の概要】福岡市立小学校の3年生であった原告(当時8歳)が、担任のD教諭から公平性を欠く指導や教卓の下に入れる指導等の違法な指導を受け、適応反応症を発症したとして、福岡市に対し国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案である。D教諭は新任教諭で、授業中に騒ぐ児童をその場で注意せず、むしろ騒ぐ児童を注意した原告を叱責するという指導を日常的に行い、また、興奮状態になった原告を他の児童の前で教卓の下に入れるという対応を複数回行っていた。原告はこうした指導の中で自傷行為や窓からの飛び降り未遂を繰り返すようになった。 【争点】①D教諭の指導が国家賠償法上違法といえるか。②校長・教頭及び教育委員会の対応の違法性。③原告に生じた損害の有無・額及び因果関係。 【判旨】原告の請求を一部認容し、114万6048円の支払を命じた。①D教諭が騒ぐ児童をその場で注意せず原告ばかりを注意した指導(本件指導①・⑥)は、原告にとって著しく公平性を欠き、クラス内に「言う立場」と「言われる立場」という構造を作り出したもので、教育的指導の範囲を逸脱し国家賠償法上違法である。また、教卓の下に原告を入れた指導(本件指導⑦)も、人が入るべきでない狭い空間での窮屈な姿勢を強いる懲罰的色彩を帯びる行為であり、他の児童の注目を集める中で行われたことで原告に羞恥心を抱かせ、授業を受ける機会も奪うものであって、違法と認められる。②校長・教頭及び教育委員会の義務違反については、結論に影響しないため判断不要とした。③原告のPTSD発症は認められないが、D教諭の違法な指導により適応反応症を発症したと認められる。原告のADHDについて素因減額は行わず、慰謝料100万円を含む114万6048円を損害と認定した。