AI概要
【事案の概要】 北海道在住の建設作業従事者又はその承継人である原告ら(14名の被災者に係る原告ら)が、建材メーカーである被告らに対し、石綿(アスベスト)含有建材を製造・販売する際に石綿粉じんの危険性について警告表示をすべき義務を怠ったため、石綿粉じんにばく露して中皮腫・肺がん等の石綿関連疾患を発症したと主張し、民法719条1項後段の類推適用による共同不法行為に基づき、連帯して損害賠償を求めた建設アスベスト集団訴訟(北海道訴訟)である。なお、国との間の訴訟は令和4年6月に訴訟上の和解により終局している。 【争点】 主な争点は、(1)被告ら建材メーカーの予見可能性及び警告義務違反の有無・内容・始期、(2)民法719条1項後段の類推適用による建材現場到達事実の認定手法(シェアを用いた確率計算の合理性)、(3)屋外建材や改修・解体工事に関する警告義務の有無、(4)石綿不使用義務違反の有無、(5)主要原因企業の寄与度に応じた責任範囲(期間減額・他原因減額)、(6)喫煙歴による損害額の修正、(7)国との和解金の損害填補の方法である。 【判旨】 裁判所は、遅くとも昭和49年には被告らが屋内建設現場の作業者との関係で石綿関連疾患り患の危険を具体的に予見でき、昭和50年1月1日から警告表示義務を負うと判断した。警告義務の内容として、石綿含有の事実、重篤な石綿関連疾患発症の危険性、防じんマスク着用の必要性を建材自体に明確に表示すべきとし、被告らがこれを履行したとは認められないとした。他方、屋外建材については具体的予見可能性を認めず、改修・解体作業者に対する警告義務も否定した。石綿不使用義務については平成18年以前には認められないとした。建材現場到達事実の認定にはシェア10%以上を基準とする確率計算の合理性を認め、民法719条1項後段の類推適用により共同不法行為責任を肯定した上で、期間減額及び他原因減額により被災者ごとに寄与度(3割〜55%)を認定した。基準慰謝料額は死亡2700万円、肺がん・中皮腫り患2400万円とし、喫煙歴のある肺がん被災者は一律1割減額とした。以上により、原告らの請求を一部認容した。