殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、熊本市内の飲食店2店舗の店長であり、アルバイト従業員3名(当時19歳〜21歳)との間で勤務態度や給料計算を巡る確執があった。令和6年3月22日未明、従業員3名がLINEで一斉に被告人への批判とともに退職を申し出たことに激怒し、インターネットで「人を殺したい」と検索した上、包丁1本を新たに購入し、別店舗からも包丁1本を持参するなど準備を整えた。同日午前9時13分頃、店内で従業員3名に対し、刃体約16.2cmの包丁2本を両手に持ち、顔面・頸部・腹部等の身体枢要部をわずか1分程度の間に数十回にわたり突き刺すなどした。被害者らは必死に椅子や看板で抵抗したが、腹部刺創(深さ約10cm)、横隔膜刺創、顎骨破損、右長母指伸筋腱断裂等の重傷を負った。犯行後、被告人は隣のビル屋上に逃走し包丁を所持していた(銃刀法違反)。弁護人は自首の成立を主張したが、被告人が警察署に電話した時点で既に被害者の110番通報により犯罪事実・犯人が捜査機関に発覚しており、自首は成立しないと判断された。 【判旨(量刑)】 懲役20年(求刑どおり)。裁判所は、本件が強固な殺意に基づく極めて執拗かつ残忍な犯行であり、包丁の事前購入等から一定の計画性を有すると認定した。被害者らは傷の位置がわずかにずれていれば死亡していた可能性があり、被害結果はこの種事犯の中でも特に重大であるとした。精神科医は長時間労働による認知機能低下・衝動性亢進を指摘したが、被告人は主として従業員らへの怒りから殺意を抱いたものであり、咄嗟の犯行でもないことから、衝動性の亢進を有利な事情として酌むことは困難とした。被害弁償金各30万円の支払い、父親による更生支援の申出、反省の弁等も大きく考慮できず、同種事案の量刑傾向の中で最も重い部類に属するとして、求刑どおり懲役20年を言い渡した。